中小企業で勤務してきた方が転職活動をするとき「自分の経歴は大手企業勤務者にかなわない」と控えめに考えがちです。
中小企業出身者の経歴には、大手企業出身者にはない意外な強みがあります。
大手企業出身者の弱点を知り、正しくアピール出来れば、中小企業での勤務経験はプラス評価されることが多いのです。
大手企業出身者の意外な弱点
大手企業の組織や業務分担は細分化され、専門化されています。
例えば人事部署の業務でご説明すると「人事制度の策定」のみ、あるいは「全社の人事異動」のみを5年間以上担当している、などという人は決して珍しくありません。
大手企業 業務細分化のメリット
ひとつの業務を長く担当すれば、その業務のスペシャリストとしてスキルも熟練します。
「全社の人事異動」業務を例にすれば、
・次期昇格候補者のリストアップ、
・転勤の際に配慮すべき個別事情(受験期の子供や介護が必要な親の有無など)
個人情報とともにスラスラと出てきます。
対象となる社員数が多いため、人事情報システムにデータ化しにくい事項も含めて把握したスペシャリストがいれば業務がはかどるのです。
大手企業 業務細分化の弱点
細分化した担当業務に熟練していても「人事制度」や「社員の個別事情」というのは、その会社、その社員のみの事情であり、他の会社に転職したら即戦力とはなりません。
また大手企業では、ひとつの業務に携わる期間が長いため、部門内の全業務を広く把握するまでに長い期間が必要です。
担当した業務には大変詳しくなるが、他業務との関係や全体の流れを把握できないのです。
同じ部門内でも、各業務別の都合や利害が一致せず、反発しあうことすらあります。
中小企業出身者の意外な3つの強み
「誰もが知っている大手企業」で勤務すると、
・中小企業では知り得ないノウハウやスキルが得られるのだろう、
・中小企業出身の自分なんかより優れているだろう、
と考えていませんか?
幅広い業務を担当している
中小企業の出身者は、大手企業の出身者よりも幅広い業務を担当し、経験しています。
大手企業なら何段階にも細分化された業務(人事部署で言えば、採用、人事考課、異動、社員教育、給与・社会保険、福利厚生など)を、単独または少数の人員で運営していたはず。
全体の業務の流れを理解し、月間や年間のスケジュールまで把握して、都度、何を優先して取り組むべきか、身についている人が多いのです。
単一業務だけを長く経験してきた人より、総合力で即戦力として期待できます。
限られたリソースで工夫して成果を出せる
大手企業の営業部署では、他部署が念入りに仕上げた市場動向、販促材料、宣伝計画など、ツールやプランが揃って一体感あるキャンペーンを行なうことが出来ます。
一方、中小企業の営業部署ではそれら全てを少人数または一人で準備して、自分のアイデアと行動力、オリジナリティで勝負をかけることが多いようです。
限られたリソースを有効活用して成果を上げた経験があれば、積極的にアピールしましょう。
業務やマネジメントの難易度が高い
大手企業では、(前述のとおり)各部署から考え抜かれたツールや判断材料が集まります。
それらの材料を活用して判断や方針を出すのが大手企業のマネジメントの特徴といえます。
一方、中小企業の出身者は、業務の前提となる判断材料やツールまで自分で作成するか、または無いままで行動して成果を出します。
部署にメンバーがいる場合も、大手に比較すれば基礎能力が高いとは言えない中で、業務の指導、役割分担、業務配分などを工夫してチーム力を上げて成果を出してきたと言えます。
中小企業出身者が転職活動で気をつけること
中小企業と一口で言っても、独自の技術力や製品開発力、シェアでマーケットの優位に立つ企業は多くあります。
ただ、残念ながら企業相手(B to B)のビジネスモデルの場合、社名を聞いただけでは個人として分からない場合も多いものです。
そこで職務経歴書に書く企業名の横には、会社概要、事業内容、従業員数、年間売上高などの他に、主な製品、シェア、主要な技術など会社のピーアール事項も記載しましょう。
人数が少ない方が有利な場合もあるのです!
人事部長のまとめ
・中小企業出身者には、大手企業出身者にはない意外な3つの強みがある
・正しくアピールすれば、中小企業での勤務経験はプラス評価になる
・中小企業出身者が転職活動で気をつけることがある
むしろ中小企業の方が有利な場合もあります。
積極的にアピールして、あなたの経験、強み、成果が評価されることを祈ります。